過去の苦労話 第5回:VANという黒船と、FAXの横で震えた夜

 〜「電子化」の夢と、商品マスタという名の高い壁〜

今では死語に近いかもしれませんが、当時は「VAN(Value-Added Network)」という未知の技術が、業界の救世主として現れました。

抱いた夢: これまで電話やFAXでグダグダとやり取りしていた注文が、VANを使えば電子データで「バンバン」送れる。事務作業が劇的に減り、ミスもなくなる。まさに魔法の杖に見えました。しかし、魔法を発動させるには、絶対的な条件がありました。
「自社と仕入れ先で、商品コードが完全に一致していること」です。

1. 営業担当の手渡しと、FAXへの「ピーッ」この機を逃すまいと、私は仕入れ先に「データ対応確認表」を送りまくりました。
とはいえ、送付先なんて分かりません。仕入れ先の営業担当に直接手渡したり、注文FAXが吐き出される複合機の横に、勝手に「ピーッ」と流し込んだり……。
内気なシステム屋にとっては、営業マンの顔色を伺いながらの「顔つなぎ」は、システム開発より何倍もハードルの高いミッションでした。

2. 発覚した「マスタの貧弱さ」業界VANにはデータ交換の仕様が決まっていて、ようやく商品データを集める環境が整いました。ところが、いざデータを突き合わせてみると、愕然としました。マッチするキーがない: 自社のマスタと、VANから降ってくるデータが、一ミリも噛み合わない。

自社データの薄さ: そもそも自社の登録件数が少なすぎて、比較対象にすらならない。

価格の迷宮: 卸売業の宿命ですが、納品先ごとに卸価格が違う。このロジックをどうデータに乗せるのか、頭を抱えました。

3. まずは「普通にデータをくれるところ」から絶望的な状況でしたが、私は決めました。
「まずは、まともに商品データを提供してくれる仕入れ先から、徹底的にマスタを充実させよう」。
完璧を求めるのではなく、「通じる相手」から確実にデジタル化の橋を架けていく。

これが、のちの30万件維持に繋がる「守りの一手」だったのです

余談ですが、一部の量販小売店ではJCAというプトロコルで注文データを送ってくところがありました。
まぁ、顧客企業にもそんな得意先をもつ会社が数社あり、システム導入時に作り込んだり量販店の追加で、対応したこともあります。
まぁ、注文データの扱いにも色々な歴史があったので、機会があれがかくかもしれません。

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