過去の苦労話 第7回:多回線サーバーの咆哮と、Linux・Access連合軍の「迎撃」作戦
商品データの整備が進めば、次にやるべきは「発注の自動化」、そしてその裏返しの「受注の自動化」です。まずは手始めに、支店・営業所間のやり取りから着手しようと考えていました。ところが、ここで「先走りの部長さん」が登場します。
字を書くのが大嫌いなその部長。以前別案件で知り合ったシステム屋に、Accessで「注文データを作成するおもちゃ」を勝手に作らせてしまいました。あろうことか、電話を繋ぎながらWindowsのファイル共有でデータを本社に投げ、それを取り込むという、セキュリティもクソもない運用を始めたのです。私は、開いた口が塞がりませんでした。
「……アングリ」一応、本社の基幹システム側には、FD(フロッピーディスク)からデータを取り込む処理を外注で作らせて体裁を整えてはいましたが、私の中の「システム屋の魂」が納得しません。「こんな不安定な運用、認めてたまるか」そこで私が持ち出したのが、当時まだ群雄割拠の状態だったLinuxの中から選んだ、Red Hat Linux(RHL) Ver.7でした。
売れ残りのPCを引っ張り出し、そこにRHL7とPostgreSQLを叩き込みます。さらに、通信の「関所」として、4回線か8回線かは忘れましたが、多回線対応のダイヤルアップサーバー装置を導入しました。
当時の通信環境は、アナログ電話線によるダイヤルアップ接続。
私は、AccessのVBAを書き換え、PPP(Point-to-Point Protocol)で本社の多回線装置へ接続。そこからODBCを経由して、本社のPostgreSQLへ直接データを流し込むという、当時としては「禁じ手」に近い構成を練り上げ、相手方のシステム屋にサンプルコードを渡して改造を命じました。さらに、データの「出口」にも一工夫凝らしました。
社内で余っていたPCにこれまたAccessを入れ、そいつを**「データ中継機」**に仕立てたのです。支店から多回線装置経由でPostgreSQLにデータが届く
中継機の「Access君」がODBC経由でそのデータを吸い上げる
そのまま基幹システムの「外部注文データ用テーブル」へ直接書き込みに行く事務所の隅で「カチ、ピーヒョロロ……」という複数のモデムが合唱するたび、各支店からの注文が、私の作った「裏道」を通って、何食わぬ顔で巨大な基幹システムへと吸い込まれていく。
ついでにそのサーバーには、「サイボウズ Office」の試用版もこっそり忍ばせておきました。Windows共有という危うい橋を叩き割り、オープンソースとVBA、そして多回線装置の力で「本物の連携」を構築してやる。1999年の片隅で、私の「Linuxサーバー構築記」という新たな戦いが、確かな産声を上げたのでした。
(つづく)

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